備蓄米パールライスが5kgで3,500円!江藤農水相は「買ったことない」の裏で、政府は245億円の大儲け!?

2024年から2025年にかけて、日本国内ではかつてないほどのコメ価格の高騰が続いています。「令和のコメ騒動」と呼ばれるこの状況は、政府の備蓄米放出の遅れなど、複数の要因が重なったことで引き起こされました。とりわけ注目されているのが、JA全農のブランド「パールライス」が備蓄米として流通しているとされる点です。市場平均より安価に見えますが、1年前よりは大幅に上昇しており、パールライスが備蓄米である可能性や価格の妥当性を、政府の卸売価格、実際の市場価格と照らし合わせながら検証していきます。

江藤拓農水大臣の発言が波紋

江藤拓農林水産大臣は2025年5月18日、自民党佐賀県連の政治資金パーティーでの講演において、「私はコメを買ったことがありません。支援者の方々からたくさんいただくので、売るほどあります」と発言しました。この発言は、米価の高騰が続く中での消費者感覚との乖離として、多くの批判を呼びました。

翌19日、江藤大臣は記者会見を開き、「実際には定期的にコメを購入している」と釈明し、発言の正確性に欠けたと認めました。また、玄米流通の促進を意図していたが「売るほどある」という表現は不適切であったと述べ、最初は発言の「修正」にとどめていましたが、のちに「全面的に撤回」する形で謝罪しました。

石破総理との会談とその後の反応

石破総理との会談後、江藤大臣は「消費者と生産者への配慮が足りなかった」と認め、厳しく叱責を受けたことを明かしました。そのうえで、大臣としての職務を継続し、「結果で責任を果たす」と続投の意向を示しました。

一方、SNSでは「5キロ4,000円では買えない庶民感覚を無視している」「大臣として不適切」といった批判の声が多数上がり、今回の発言は農政全体に対する不信をさらに強める結果となりました。

また、農水省の対応や減反政策のあり方についても再検証を求める声が高まり、構造的な課題への関心が一層高まっています。報道では、すでに更迭と速報が出ており、今回の発言が国民の不満を象徴する出来事となったことは疑いようがありません。

備蓄米の価格は本当に適正?

2025年3月より備蓄米の市場放出を開始しましたが、依然として価格は高止まりしています。こうした中、JA全農のブランド米「パールライス」が備蓄米では?と注目を集めています。「パールライス」は通常、国産米を使用したブレンド米として販売される商品ですが、現在では備蓄米として流通している可能性が高いと指摘されています。とくに5kgで3,500円前後という価格は、通常の米の4,300~4,600円と比べて安く、備蓄米の価格水準と一致しています。JA全農は政府から備蓄米の94%を落札しており、その大半が「パールライス」ブランドで市場に供給されているとみられています。

実際、ネット通販では「パールライス5kg」が税抜3,350円で販売され、消費者報告でも、「店員が備蓄米と説明した」「通常米より1,000円安い」などの情報が共有されています。ただし、「パールライス」は本来、通常の米にも使われるブランドであり、パッケージに年産や備蓄米である旨の記載がない場合、完全な断定はできません。

備蓄米と通常米の価格差と影響

例年のお米の卸価格は、JA全農などの出荷団体が卸売業者に販売する際の価格で、産地や品種、年ごとに変動します。農林水産省のデータによれば、銘柄平均は約14,000〜15,000円/玄米60kgで取引されており、昨年は猛暑による不作により、米価は上昇傾向にあります。

一方、2025年に初めて本格的に市場放出された備蓄米は、平均落札価格が2万1926円/玄米60kgで取引され、大半をJA全農などがこの価格で購入しました。

つまり、2025年の備蓄米は通常米に比べて、大幅に高値となっており、政府放出による価格安定効果は限定的であることが分かります。備蓄米の市場放出量も少なく、実際の価格へのインパクトは限定的であり、今後の流通量や政府の販売方針次第で効果が左右されると考えられます。

備蓄米の利益を試算

備蓄米は、前年以前に収穫したお米を備蓄しているものであり、過去の取引価格で、仕入れたお米を備蓄米として放出することとなります。つまり、過去の取引価格で出荷できるはずであったにも関わらず、高値で販売したことになります。例年の取引価格と今回の備蓄米の価格を比較し、その利益を試算してみます。

以下に仮定条件と計算過程を示します。

試算の前提

・販売価格(2025年備蓄米):約22,000円/60kg
・取得価格(例年の平均的な価格):約15,000円/60kg
・販売数量:21万トン。3月の取引量。

計算手順

・1キロあたりの販売価格:22,000円 ÷ 60kg ≒ 366.674円
・1キロあたりの取得価格:15,000円 ÷ 60kg ≒ 250.005円
・1キロあたりの粗利益:366.674円 − 250.005円 = 116.669円
=>差し引き利益:116.669円 × 21万トン = 約245億49万円

つまり卸値の利益は、245億円ということになります。

ただし、この金額は概算ですので、備蓄米の保管には年間数千円/トンのコストがかかるとされており、この費用を考慮すると実際の利益は目減りする可能性があります。また、備蓄米には2021年産や2023年産など、複数年の米が含まれている可能性があります。年産によって仕入れ価格や保管期間が異なるため、利益率にもばらつきが生じます。

パールライス価格の再検証

2025年4月時点の備蓄米パールライス5kg約3,500円は、他商品の5kg4,200円よりは安いですが、2024年4月の市場価格5kg約2,000円に比べるとかなり高い水準にあります。仮に政府が備蓄米を仕入れ当時の値段である14,000円などで全農に卸していれば、店頭価格は低い水準に抑えられた可能性が高いのではないでしょうか?

背景と現状の価格構造

  • 2025年
    • 政府販売価格:約22,000円/60kg、
    • 店頭価格:5kgで約3,500円
  • 例年の価格
    • 卸売り価格:約15,000円/60kg
    • 市場価格:5kgで約2,000円

パールライス3500円の試算

今年の落札価格上昇率:22,000円 ÷ 15,000円 = 約1.47倍
→ 店頭価格も単純連動と仮定すれば:2,000円 × 1.47 ≈ 2,933円

燃料費・人件費・電力費などのコストが2024年から2025年にかけて上昇していることを考慮すれば、落札価格が15,000円から22,000円へと約1.47倍に上昇した場合、店頭価格が2,000円から約3,000円〜3,500円へと上昇するのは、一定の整合性があると考えられます。

つまり、この試算によれば、例年レベルまたは仕入れ価格で全農に卸した場合、店頭価格は2,000円前後となり、現状の3,500円という価格は、政府の販売価格設定の約22,000円/60kgが高いことが原因あり、仮に例年並みの価格で取引していれば、物価高騰などの影響があったとしても、2,500円程度で店頭に並んでいた可能性があります。

農政の課題と消費者感覚の乖離

主食である米の価格は、農家や消費者が直接決める余地はほとんどなく、価格の高騰は国民生活にダイレクトに届きます。今回のコメ騒動は、単なる一時的な価格変動ではなく、長年にわたる失策の積み重ねと、それを担ってきた関係者の失敗と間違った特権意識が招いた結果とも言えるのではないでしょうか?

農政に携わる行政、官僚、業界団体が本来果たすべき役割は、農家の持続可能性を支え、マーケットをコントロールすることです。しかし現実には、農家を守るどころか、既得権の維持が優先され、市場の実態や消費者の声が置き去りにされてきたように見えます。

なぜ備蓄米放出ですら、国が利益を出そうとするのか?なぜ、農水大臣が課題を認識しているとは言い難い発言をするのか?納得しがたい状況です。

米価高騰が進む中で求められる政策の方向性

米高騰が続く構造を放置すれば、国内での米離れがさらに進み、結果的に外国産米の輸入が増加することで、長期的には日本の農業競争力が損なわれるおそれがあります。実際、現在の価格では、たとえ高い関税を支払っても外国産米を輸入した方が店頭価格を抑えられるケースが多くなっています。

そのため、小売店では海外米の取り扱いが目立ち、価格も国産米より2割程度安く設定されている状況です。にもかかわらず、一定の利幅を確保したうえで販売できていることから、現在の国産米の価格は、価格競争力の点で極めて不利な水準にあると言えるでしょう。

こうした課題が浮き彫りになった今、求められるのは、現場の声に耳を傾け、農家の努力を適切に評価し、持続可能な制度設計を行える人材の登用です。既得権を守ることではなく、農家の未来と日本食の未来を見据えた政策運営が求められています。

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