外貨預金の魅力は高金利通貨を活用して資産を増やせる点ですが、銀行の外貨預金には隠れたコストがあります。その一つがスプレッドの広さです。これを考えると、低スプレッドが特徴のFXで外貨預金のような運用ができないかと考えるのは自然な流れですよね。
この記事では、実際のスワップポイントやコストを計算しながら、この運用方法がどの程度有効かを見ていきます。
外貨預金とFXの違い
銀行などで運用されている外貨預金とFXとの違いを考えてみましょう。
スプレッドの広さ
銀行の外貨預金では、例えば南アフリカランド円のスプレッドが非常に広く設定されているため、金利差で得られる利益を打ち消してしまうことがあります。一方、FXではスプレッドが狭く設定されているため、金利差を活かしやすいと言えます。
スワップポイント
FXでは、通貨ペアごとの金利差に基づいて毎日スワップポイントが付与されます。ただし、スワップはブローカーや市場状況によって変動するため、事前に確認が必要です。
入出金の柔軟性
銀行の外貨預金は多くが定期預金であるため、すぐに引き出せないことが一般的です。一方、FXは必要になった時に即座に資金を引き出せる利便性があります。
実際の値で試算した結果
試算はOANDAの情報で行いました。あくまで、そのタイミングでの値ですので、参考までにご覧ください。スワップの金額、スプレッド、レバレッジ、口座種別などにより内容が変わります。
1. メキシコペソ円(例)
- レート:7.542円
- スワップポイント:2.43(1ロットあたり)
- 1ロット(100,000通貨単位)での計算:754,200円
- 1日あたりのスワップ額:243円
- 年間スワップ額:243円 × 365日 = 88,695円
- 年利換算:88,695円÷754,200円×100=11.76%
2. 南アフリカランド円(例)
- レート:8.559円
- スワップポイント:0.6(1ロットあたり)
- 1ロット(100,000通貨単位)での計算:855,900円
- 1日あたりのスワップ額:60円
- 年間スワップ額:60円 × 365日 = 21,900円
- 年利換算:21,900円÷855,900円×100=2.56%
3. 米ドル円(例)
- レート:150円
- スワップポイント:6.27(1ロットあたり)
- 1ロット(100,000通貨単位)での計算:15,000,000円
- 1日あたりのスワップ額:627円
- 年間スワップ額:627円 × 365日 = 228,855円
- 年利換算:228,855円÷15,000,000円×100=1.53%
ブローカー選定の重要性
ブローカーの選定は非常に重要です。外貨預金は銀行が行うため、1日の中でスプレッドが大きく変動することはありませんが、FXでは相場状況により大きくスプレッドが広がる場合があります。特に決済のタイミングでスプレッドが広がれば、想定していた利益が無くなる可能性もあります。
適切なブローカーを選ばなければ、外貨預金の方が安心だったと感じる結果になることも考えられます。逆に、優れたブローカーを選べば、外貨預金以上の使い勝手と金利を得られる可能性があります。
スワップの注意点
レバレッジの影響:レバレッジを下げれば、外貨預金と同様の運用が可能です。ただし、FXではレバレッジを高く設定することで少ない資金で大きなポジションを持てるため、リスク管理が重要です。
スワップの変動:スワップポイントは市場の金利状況やブローカーの設定により変動します。外貨預金の金利と単純比較すると、思ったほど利益が出ないケースもあるので注意が必要です。
為替リスクへの注意:例えば、今後アメリカ大統領がトランプ氏に変わります。その時に円高に大きく振れる可能性があり、5%や10%の金利差が吹き飛ぶことも想定されます。このような為替変動のリスクも十分考慮する必要があります。
レバレッジを使えば金利が何倍にも
レバレッジを使うことで、証拠金を少なく抑えて、スワップ金利を得ることが可能です。
例えば、ドル円のスワップは年利1.53%ですが、レバレッジを10倍にすれば、実質利回りは15.3%に跳ね上がります。これは、1500万円が必要なポジションを、レバレッジを活用することで150万円の証拠金で保有できるためです。結果として、実質金利は10倍になるわけです。
しかし、それと同時にリスクも10倍になります。ここで重要なのは、レバレッジは実際のお金が増えたわけではないという点です。為替相場が自分の不利な方向に動き、含み損が証拠金を超えた場合、強制ロスカットが発動され、全資金がゼロになる可能性があります。
外貨預金の場合、元本割れを起こすことはあっても、資金がゼロになることはまずありません。この点がレバレッジを使うFXと外貨預金の最大の違いです。レバレッジは強力なツールですが、その裏には大きなリスクが潜んでいることを忘れてはいけません。
また、「証拠金を多めに入れておけば問題ない」と軽視するのは危険です。一時的な為替変動でも、証拠金が不足すれば即座にロスカットされ、全資金が消える可能性があります。これは、一度ロスカットが発動すれば資金が完全に溶け、ゼロになるということです。くどいようですが、このリスクは現実的であり、十分な理解と慎重な対応が必要です。
外貨預金代わりにFXを使うべきか?
FXで外貨預金のような運用をすることは可能ですが、その選択には慎重な判断が求められます。
メリット
- 効率的な運用:低スプレッドで外貨預金よりも高い利回りが期待できます。
- 流動性の高さ:必要なときに即座に資金を引き出すことが可能です。
- 高金利通貨を活用:メキシコペソや南アフリカランドなど、高金利通貨を利用して効率的にスワップ収益を狙えます。
デメリット
- 為替変動リスク:相場が不利な方向に動いた場合、スワップ収益以上の損失が発生する可能性があります。
- 強制ロスカットのリスク:一時的な相場変動で証拠金が不足すると、全資金がゼロになる可能性があります。
- スワップポイントの変動:スワップは固定ではなく、市場環境やブローカーによって変動します。
最後に
レバレッジを活用する場合、リスク管理が何よりも重要です。一時的な為替変動で資金が溶けてしまうことを避けるため、証拠金に余裕を持たせ、ポジションサイズを慎重に調整する必要があります。
一方で、外貨預金には手数料が高いという欠点があるものの、元本が完全にゼロになるリスクはほぼありません。これに対してFXは、うまく利用すれば外貨預金以上のリターンを得られる可能性がある反面、適切な運用ができなければ大きな損失を被る可能性もあります。
外貨預金とFXはそれぞれに一長一短があります。自身のリスク許容度や運用目的に応じて、慎重に選択することが重要です。もしFXを選ぶなら、信頼できるブローカーを選び、十分な知識を持って運用することが成功の鍵となるでしょう。
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