ニュースや会見、そしてそれに対するコメント欄を見ると、選択的夫婦別姓について「誰が進めたいのか分からない」「誰が得なのか」「多額の税金を使ってまでやる理由が見えない」といった声が多く並びます。制度の是非以前に、動機そのものが見えにくいことへの違和感が広がっています。
経団連や連合は会見で「女性の活躍」、「多様性」、「アイデンティティ」といった言葉を繰り返しますが、本当にそのような理由なら、名前にこだわるよりも他に改善すべき構造の改革があるでしょう。昨今の職場では旧姓で仕事をすることなど、まったく問題ありません。パスポートや論文などという理由も多くの人には関係ない話です。結局のところ、「面倒」という以外の明確な理由がありません。
では、なぜ彼らはここまで、この制度にこだわるのでしょうか。そこには、組織としてのメンツや対外的な評価が背景にあるのではないか、という見方も浮かんできます。
😒なぜそこまで必死?経団連・連合が別姓にこだわる理由
経団連や連合が選択的夫婦別姓を強く求める理由の一因として、女性の現場負担というよりも、対外的な説明や組織としてのメンツの問題があるように思えます。国際会議や海外メディア、ESG評価の場などでは、「なぜ日本では女性が男性の苗字に変えるのか?」という問いが投げかけられることがあります。そのたびに文化的背景や旧姓使用の実務運用を説明することが必要になり、さらには「まだ日本は男女平等が進まないのか」と嫌味を言われるような場面もあるのでしょう。
国際的な場で「選択肢できる」、「グローバルな基準と一致している」と言い訳せずに答えられる状態を作りたいという面もあるのかもしれません。ただ、結果として、組織としてのメンツを保ち、批判を避けたいという側面が透けて見えます。しかし、このような理由を正直に語れば、国内では反発を招きかねません。そこで「女性活躍」や「多様性」という、反論しづらい言葉が前面に出てきます。その結果、そこまで税金を使って長い議論をし、進めるだけの意味があるのか?という腑に落ちない疑問を多くの人が持っているように思えます。
🤔それって本当に活躍?女性を“働かせる正義”への違和感
本当に女性の活躍を望むなら、議論すべきは名前の問題ではなく、働き方や育児休暇の見直しです。ここで立ち止まって考えたいのは、「女性の活躍」とは何か、という点です。姓の選択が増えたところで、長時間労働や昇進構造が変わらなければ、現実はほとんど動きません。それどころか、社会全体で「女性も働いて当たり前」という空気が強まり、実質的に働きたい無い女性にも労働を強制する方向へ進んでいないでしょうか。
育休は10年あってもよく、人生100年時代で労働は50年にもなります。その中で、家族のために10年休むことは本質的に間違っているとは思えません。また、一度離職したり、実務経験に空白があったとしても、40代で正社員として採用される仕組みを拡大することの方が、より効果的と考えられます。
😉専業主婦は失敗扱い?昭和の女性は活躍していなかったのか
近年、専業主婦という生き方が、あたかも時代遅れで怠けているかのように語られる場面があります。しかし、それは正しいのでしょうか?昭和の時代、家庭を支え、地域や子育てを担っていた女性たちは、社会の基盤を作る役割を果たしていました。それは間違いなく「活躍」でした。活躍を賃金労働だけで測る価値観が強まりすぎると、家庭内労働やケアの価値が見えなくなります。その延長線上で、「女性は外で働くべきだ」という一方向の正義が生まれてしまいます。
別姓制度の議論が、こうした価値観の押し付けと結びついて見えるからこそ、多くの人が違和感を抱くのではないでしょうか。選択的に専業主婦を選べる社会であることも、多様性の一つです。誰もが働きたいわけではなく、働かざるを得ない現状こそが、女性の負担になっている面もあります。日本には、制度的にも専業主婦を支える設計が存在しており、具体的には年金3号や配偶者優遇といった制度が整えられています。これは、根本的な少子化対策の基盤ともなり得る制度ではないでしょうか。
🙄結局ダレトク?「女性活躍」を利用しているのは誰か
経団連や連合が選択的夫婦別姓にこだわる背景には、女性の現場課題以上に、国際社会へのアピールや説明コスト、そして組織としてのメンツの問題があるように見えます。しかし、それを「女性活躍」や「男女平等」といった言葉で包んでしまうことで、論点はかえって分かりにくくなっています。本当に問われるべきなのは、女性をどう働かせるかではなく、どのような生き方を選べる社会にするのかという点でしょう。
働くことも、家庭に入ることも、途中で離れてから再び働くことも、いずれも等しく尊重されるべき選択です。その設計を置き去りにしたまま、「グローバル基準」や「差別のない社会」といった言葉だけを掲げても、共感が広がりにくいのは自然なことです。
社会に大きな影響力を持つ団体であればこそ、年代による線引きをせず、正社員採用や再挑戦の機会を広げることを企業や社会に促し、世代を問わず多くの女性がそれぞれの形で活躍できる環境づくりにこそ力を注ぐべきではないでしょうか。
皆さんは、女性の活躍にどのような姿を期待しますか。



