近年、「夫婦のレスが増えている」という見出しをしばしば目にします。今回の元記事でも、あたかも“日本の夫婦の多くがレスで悩んでいる”と印象づける表現が並びます。こうした“数字の読み方を誤らせる記事”が増えているからこそ、冷静に見極める必要があります。
このような記事の統計をよく読むと、その調査はあまりにも偏ったデータで構成されている場合があります。政党支持率の世論調査にもこのような偏りが乱用されていますが、データの偏りを無視して結論へ誘導する偏向報道が増えている印象がありませんか?今回、その違和感を落ち着いて整理してみます。
😁本当に“日本の夫婦像”ですか?
元記事が引用する調査は「20〜59歳の既婚男女3000人」という形式ですが、年代構成を見ると20代150人、30代558人に対し、40代は970人、50代は1322人。実に回答者の約76%が40〜50代で占められています。
平均値を出せば“半数以上がレス”という数字にはなりますが、これを日本の夫婦全体の姿として扱うのは無理がありますよね。みなさんなら、この年代バランスのまま全国民像を推測できますか?統計の偏りを無視するのは誤読を招きます。
🤔レスの話題はセンセーショナルにしやすい
メディア側は、夫婦関係や性の話題を扱うと注目が集まりやすいことをよく知っています。そのため「レス多数派」という構図を作りやすい数字に飛びつきがちです。今回も、3000人中1396人(46.53%)が“営みあり”、逆に53.47%(1604人)が“なし”という単純比較が強調されています。
しかし、この“53%”の中身を見ると「そもそも性欲が湧かない」が55.61%を占め、実際の夫婦仲とは関係ない健康・年齢要因が多いことが分かります。こうした背景を無視して“夫婦関係の問題”として扱うのは、読者の誤解を誘います。
😍年代別の“レス人数そのもの”を見ると全体像がさらに歪む
まず重要なのは、年代別で“レスと回答した人数そのもの”が大きく異なるという点です。年代別の「レス回答者数」は以下の通りです。
- 20代:29人(全体150人中19%)
- 30代:206人(全体558人中37%)
- 40代:497人(全体970人中51%)
- 50代:841人(全体1322人中64%)
つまり、レスと回答した人の約78%が40〜50代に集中しています。にもかかわらず、記事ではこれを“日本の夫婦の実態”とひとまとめに語っています。ところが記事は、この年代構造の差をほとんど説明しません。“レス多数派”という全体平均だけが切り取られ、実態とかけ離れた誤解を誘導しています。40〜50代中心のデータをそのまま一般化すれば、“レス社会”のように見えるのは当然です。元々の論調に誘導したい意図があるのではと疑問を抱かざるを得ません。
🤪センセーショナルな印象操作?
この調査では「レス解消したい」は22.7%(357人)にとどまり、77.3%(1216人)は“現状維持でよい”と回答しており、数字だけを見れば“改善を望まない層が多数派”という印象になります。しかし、この「解消したい/したくない」という強い二択は、回答を誘導しやすい形式でもあります。
本来であれば「どちらかと言えば〜」「無理に改善しなくてよい」「どちらとも言えない」など相手がいることですので、中間的な選択肢があるべきであり、極端な二択では現状維持を選びやすい傾向があるように見えます。さらに、20代・30代と比べて50代にどれほど改善意欲があるのかを考えれば、この数字をそのまま“全国的傾向”として扱うことには無理があると感じませんか?
🤔統計は“どの層をどう抽出したか”で結果が変わる
今回の記事が引用する調査は、回答者の年齢構成が公開されていますが、その比率を意識せずに読むと“日本人の半数がレス”という印象になりかねません。本来、性行動に関する統計は年齢階層ごとの比較が不可欠です。
20代と50代のデータを一括りに平均化してしまえば、人数の多い世代の影響が強く出て、現役世代の実態は簡単に埋もれてしまいます。世代ごとの母数が大きく異なるのに、全体平均だけを前面に出すやり方は、統計の常識からすればかなり乱暴です。
それでもなお、昨今のマスメディアではこの種の手法が多用され、偏りのあるアンケート結果を“日本全体の傾向”であるかのように報じるケースが目立ちます。このような情報に接する際、サンプルの偏りを軽視することほど危険なことはありません。
😥なぜ“レス社会”に仕立てたいのか?その裏にあるもの
このような記事の仕立て方は、“日本はレスだらけ”という方向に読者を誘導しているように見えます。この構図は、近年のメディアの偏向報道そのものです。センセーショナルなテーマを扱えばクリックが稼げ、広告収益につながります。さらに、PVを多く獲得する構造そのものが“誇張されたテーマほど儲かる”という広告モデルと強く結びついている点も看過できません。
「レスが増えている」という物語を作れば、読者は不安を覚え、それを解消する関連コンテンツに流れやすくなる。しかし問題は、その偏った構図を“世の中の普通”だと誤認し、思考が固定化されてしまうことです。
😫まとめ:偏ったデータで誤解
今回の元記事は、一見すると“日本の夫婦の実態”を語っているようで、実際には高齢層に偏った統計を軸にした話でした。こうした記事を鵜呑みにすれば、夫婦関係にネガティブなイメージを持つ人が増えてしまうかもしれません。偏ったデータで作られた物語を繰り返し浴びれば、「これが当たり前なのだろう」と錯覚しやすくなります。
特に、レス回答者の内訳は50代が841人、20代はわずか29人という極端な差があります。この数字を視覚的に思い浮かべれば、“日本の夫婦全体”として語ることがいかに無理のある一般化か、誰でも直感的に理解できるはずです。
その結果、より極端な価値観が社会の“標準”として扱われてしまう危険があります。今回のように、40〜50代を中心とした回答を“日本の夫婦全体”と扱うことは、まさにその一歩です。報道には本来、中立性と正確さが求められます。この点こそ、私たちが最も警戒すべきポイントではないでしょうか?みなさんはどう思いますか?




