いよいよ総裁選前日です。各陣営の声が街に響き、緊張と高揚が一気に高まっています。これまで積み上げてきた分析や予測が、いよいよ現実の投票で試される瞬間を迎えます。誰が勝ち抜き、誰が涙をのむのか、この熱気の中、私たちは歴史の節目に立ち会っていると実感します。
本稿ではAI分析にもとづき、1回目投票の構図と決選の党員票シナリオを整理し、民主主義と派閥の力学という問いを冷静に見つめます。日本がどの方向へ進むのか、分岐点の一日をともに見届けましょう。
😴総裁選の制度
自民党総裁選は、表向きは「党員と議員が一票ずつの対等な関係」に見えますが、実際には仕組みの中に不思議なねじれがあります。まず1回目の投票では、党員票295と議員票295、合わせて590票で争われます。しかし過半数（296票）に届かず決選投票に進んだ場合、今度は議員票295に加えて、党員票は全国47都道府県で「1票ずつ」に圧縮され、合計342票で争われるのです。
1回目は党員の声が力強く響くのに対して、決選では議員票の比重が圧倒的に大きくなります。言い換えれば、党員がどれほど支持を集めても、議員票の配分次第で結果が逆転する可能性が常に残されているわけです。
😍候補者ごとの党員票の特徴
では、実際に2025年の総裁選ではどうなるのか。ここからは、主な3候補である高市早苗氏、小泉進次郎氏、林芳正氏を中心に、党員票を軸とした予測を見ていきます。
高市氏は2024年の総裁選でも最も多くの党員票を獲得し、全国で広い支持を得ました。特に地方や保守層の厚い地域では圧倒的であり、今回もその傾向は続くと見られます。直近の政策打ち出しでも、危機管理投資や食料・エネルギー安全保障など具体的なテーマを掲げ、知名度と実績を兼ね備えた「本命候補」として党員から強い信頼を得ているようです。
小泉氏は世代交代の象徴として、都市部や若い党員から人気を集めます。華やかな発信力と知名度で、メディア報道でも常に取り上げられる存在です。ただし農水大臣としての在任中に行った米価調整策が農家層に反発を招き、地方党員からの支持が揺らいでいるとも言われます。都市部では強いが地方では弱い――それが小泉氏の党員票の特徴です。
宏池会を継ぐ林氏は、派閥の後ろ盾によって議員票では一定の強みを持ちますが、党員票となると別の話です。知名度や訴求力に乏しく、「なぜ林氏を選ぶのか」という明確な理由が党員側には見えにくい。地盤である山口や広島など一部地域を除けば、党員票で大きく伸ばすのは難しいと予想されます。
😵1回目投票の予測（党員票＋議員票）
まずは1回目投票のシナリオを整理してみましょう。党員票と議員票を分けて予測すると、次のようになります。
党員票（295票）
- 高市氏：115〜130票
- 小泉氏：85〜100票
- 林氏 ：30〜40票
- その他：30〜45票
議員票（295票）
- 林氏 ：110〜125票
- 高市氏：85〜100票
- 小泉氏：50〜65票
- その他：25〜35票
この合計を見ると、1回目では「高市氏」と「林氏」がトップ2に残る可能性が最も高く、小泉氏は3位にとどまると見られます。ただし、党員票だけで見ると小泉氏は健闘しており、都市部を中心に票を伸ばす可能性は残ります。
😫決選投票における党員票の予測
では決選投票になった場合、47都道府県で党員票がどう動くのかを見てみましょう。ここではあえて議員票を含めず、党員票だけに絞った予測です。
高市 vs 小泉
- 高市氏：38〜42県
- 小泉氏：5〜9県
小泉氏は東京や神奈川、沖縄など都市型・特殊な票が集まる県では勝つ可能性がありますが、地方や保守層では高市氏が圧倒。全体の約8割は高市氏が制すると見込まれます。
高市 vs 林
- 高市氏：42〜45県
- 林氏 ：2〜5県
林氏は山口や広島といった地盤県では勝機がありますが、それ以外では知名度不足が響き、ほとんどの県で高市氏に劣後します。9割近い都道府県を高市氏が制する可能性も現実的です。
😟逆転に必要な議員票
ここであえて議員票の予測には踏み込まず、「逆転に必要な数字」だけを提示します。決選投票は342票（議員295＋都道府県47）で、勝利ラインは172票です。小泉氏が高市氏を逆転するには（想定：都道府県票5〜9）：議員票で163〜167票が必要（=172−都道府県票）。林氏が高市氏を逆転するには（想定：都道府県票2〜5）：議員票で167〜170票が必要。
つまり、党員票でこれほどの差が開いているにもかかわらず、議員票の力だけで逆転できてしまうのが今の制度なのです。党員のこれほど明確な声を無視するような結果が出るとすれば、それは「民主主義」と呼べるのか。多くの党員、ひいては国民が疑問を持つのではないでしょうか。
😥民意と制度のねじれ
今回の総裁選は、制度が生む「民意と議員力学のねじれ」が最大の争点です。党員票を中心に見れば高市氏が優位の可能性が高く、その差は小さくありません。一方で、決選では議員票の比重が増すため、林氏や小泉氏にも逆転の余地は残ります。制度上の数字からも、その可能性は否定できません。もっとも、民意の尊重は民主政治の根幹であり、派閥の論理だけで結論を左右すべきではないはずです。
自民党総裁選は公職選挙法の対象外とされており、今回のステマ問題や党員削除など民主主義の根幹を揺るがす行為が行われた事実が露呈したことは「知らなかった」で済まされるような話ではありません。
😋編集後記：AI予測について
このAI予測は、昨年の総裁選のデータと直近1年の動向を基にAIが分析し、特に党員票の動きを中心に推計したものです。立候補者に大きな変化がなく、比較可能性が高いことから精度のある予測が可能だと考えました。世論調査に依存する従来型の予測はしばしば実態を反映しないことが多く、より現実味のある予測となることを期待しています。
仮に本稿のAI予測が大きく外れ、党員票が拮抗する場合には、制度に則り議員の方々の判断を尊重すべきでしょう。しかし、AI予想が的中し、党員票に明確な差が生じた場合、議員の方々には良識ある行動を期待したいところです。
皆さんは、党員の意思と議員の判断、どちらをより重視すべきだと考えますか？
