🤔安倍銃撃犯・山上徹也の父親、母親、兄妹と生い立ち。そして、犯行に至る謎

2022年7月8日、奈良の街頭で日本の元総理大臣・安倍晋三氏が銃撃され、命を落としました。犯人は、当時41歳の無職の男・山上徹也。自作の銃で至近距離から発砲し、その場で取り押さえられました。。この日、日本社会に突き付けられた問いは今も残っています。「なぜ彼は、ここまでの行動に至ったのか?」

この男は「狂っていた」のか。それとも、あまりにも冷静に、自分の家庭と社会の歪みを見つめすぎたのか。事件から時間が経った今、まずは事実ベースでその輪郭を並べ、そのあとにいくつかの「謎」を考えて行きます。

😟安倍銃撃事件と山上徹也という人物

  • 1980年9月生まれ、三重県出身とされ、その後奈良で育つ。
  • 2022年7月8日、奈良・近鉄大和西大寺駅付近で街頭演説中の安倍晋三元首相を、自作の散弾式手製銃で銃撃し死亡させた犯人です。
  • 現場で警察により現行犯逮捕。のちに殺人などの容疑で起訴され、精神鑑定を経て、公判が始まっている。
  • 事件後の供述では「特定の政治思想ではなく、母親を破綻させた宗教団体と、その団体と関係があると見なした安倍氏への恨み」を口にしていると報じられている。

続いて、彼を生み出した“家庭”と“環境”に焦点を当てていきます。

😥父の死がすべての始まりだった

  • 山上が4歳の頃、父親は自殺と報じられている。
  • 父は高学歴で、インフラ系の企業で働き、家族は一時期かなり裕福だったとされる。
  • しかし、仕事のストレス、家庭内の不和、経済的なプレッシャーなどが重なり、自ら命を絶ったとされる。
  • この「自殺」の詳細は公的な資料として明らかにされていない部分も多く、死因・状況は報道と関係者証言に依存している。

4歳という年齢は、善悪や因果をまだうまく理解できない時期です。 「なぜ父はいなくなったのか?」「自分のせいなのか?」「母が何かしたのではないか?」。こうした問いが言葉にならないまま、無意識の層に沈殿していった可能性はあるのかもしれません。

😫母の信仰と家庭崩壊

  • 父の死後、母親は旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と関わりを持ち、1990年代初頭に正式入信したとされる。
  • しかし、入信以前から「宗教的な集まり」「倫理団体」などへの参加があったという証言もあり、関心と正式入信の時期にズレがある可能性が指摘されている。
  • 母は多額の献金を行い、生命保険金や遺産、不動産売却の代金など、総額で1億円を超える献金をしたと報じられている。
  • 結果として家計は破綻し、母は自己破産。親族の支援も限界を迎え、山上家は経済的にも精神的にも崩壊していった。

「父の死」と「宗教への傾倒」は時間軸としては分離していても、 山上徹也の心の中では、おそらく一本の線でつながっていたのかもしれません。

😭兄の自殺と“優秀な弟”の孤独

  • 山上には兄と妹がいると報じられている。
  • 兄は幼少期から病気を抱え、視力障害や持病に苦しんでいたとされる。
  • 家庭の経済状況が悪化する中で、兄は精神的にも追い込まれ、2015年ごろに自殺したと報じられている。
  • 妹は母と同様に宗教の影響下にあったとされ、家族の中で「宗教から距離を取ろうとしていた」のは、山上一人だった可能性が高い。

一方で、

  • 山上本人は進学校とされる奈良県立郡山高校に進学し、成績は上位クラスだったという証言もある。
  • しかし大学進学は断念し、公務員系の専門学校、自衛隊、派遣労働へと経路を変えていった。

学力はあるが、家庭も社会も支えてくれない」。 そのギャップが、孤独として積み上がっていった可能性があります。

🤔山上の知性:頭が良いのか、壊れていたのか

事実だけを見ても、山上の“知性”には以下のような特徴があります。

  • 進学校出身であり、勉強もできたとされる。
  • 海上自衛隊での訓練経験から、銃器・爆薬・警備動線に関する基礎知識を獲得している。
  • 事件前にはインターネットや書籍で銃の構造、火薬、電気点火などを独学し、自作の多連装手製銃を設計・製作している。
  • 実際に山中で試射を行い、反動・散弾の広がり・射程などを確認していたとされる。
  • 安倍氏の動静や演説スケジュール、警備の薄い地点を分析し、奈良という「最も狙いやすい状況」を選んだと供述していると報じられている。

この冷静で技術的な準備だけを見ると、「頭が悪い」「思いつきの犯行」とは到底言えません。
一方で、

  • 自衛隊在籍中には、自分の生命保険金を兄妹に残そうと自殺未遂をしたとされる。
  • 任期途中で退職し、その後の職歴も安定しない。

ここには、「よく計画する頭」と「短絡的な行動」を同時に持ち合わせたアンバランスさが見えてきます。

🤪山上の思想:孤立した個人的正義の暴走

山上は、特定の政党や政治団体に属していた記録は確認されておらず、特定の思想に極端に傾倒していた形跡も乏しいとされています。彼の行動原理は、「右でも左でもない、極めて個人的な正義」が肥大化した結果とも言われます。近年では、過去の集団洗脳のような現象が、宗教団体の内部だけでなく、ネット空間でも起こりえる時代になりました。

SNSや動画サイトでは、サジェスチョン機能によって、自分と近い思想や興味の情報が次々と提示され、気づけば同質の意見に囲まれる構造が生まれています。最初は軽い共感から始まっても、反対意見が目に入らなくなり、徐々に過激な方向へ誘導されるような状態です。知らぬ間に“見える情報”が限定され、思考が一方向に傾いていくような感覚が生まれることが考えられます。

😵謎①本当に“父の自殺”と“母の破産”だけが原因なのか

事実として、

  • 父は自殺と報じられているが、その詳細な経緯は不透明な部分が多い。
  • 母の統一教会入信時期と、献金が本格化した時期にはズレがある可能性が高い。

単純な図式として
「父の自殺 → 母の入信 → 献金 → 家庭崩壊 → 山上の犯行」
と描くこともできますが、

  • 父の死の背景に、すでに宗教的な対立があったのかどうか。
  • 母はどの段階から“家庭より教団”になっていたのか。

こうした点は、報道ベースの情報だけでは読み切れません。
少なくとも、「父の自殺」と「母の破産」だけで説明できるほど、単純な構図ではなさそうだという疑問が残ります。

😟謎②なぜ統一教会ではなく安倍晋三だったのか

山上は「本来の標的は宗教団体だったが、難しいので安倍氏を狙った」と供述したとされています。しかし、冷静に考えると、いくつかの違和感があります。

  • 本当に宗教団体を狙う意思があったのなら、「自分も入信して内部から接近する」という選択肢も理屈としてはあり得るはずです。
  • にもかかわらず、山上は宗教団体そのものではなく、「その支援者としての政治家」を撃っています。

これは、「宗教団体に直接手を出すのは難しく、かつ象徴性が弱い。 一方、安倍晋三という巨大な象徴を撃てば、一発で『世界』に届く」という、冷酷な“効果”の計算が働いた可能性もありますが、 その割に供述は素朴で、理屈としてはやや短絡的にも見えます。ターゲット選定のロジックと、実際の行動の間に、 どこか「説明しきれない飛躍」があると言わざるを得ません。

😷謎③一人でここまでのマインドに到達できるのか

もう一つの大きな疑問は、「山上は本当に“完全な単独犯”なのか」という点です。

  • 高度な手製銃の設計・試射。
  • 警備動線の分析。
  • 宗教団体と政治家の関係に関する情報収集。

これらは、インターネットと書籍だけでも一定レベルまでは可能です。
しかし、

  • 誰かから「ここが警備の穴だ」と示唆を受けていたのか。
  • 誰かが「その方向性で間違っていない」と心理的な後押しをしていたのか。

といった点は、外部からは完全にはわかりません。

明確な“組織”や“グループ”が背後にいた証拠は出ていませんが、

  • オンライン上のコミュニティでの共鳴。
  • 宗教や政治に批判的な人々とのゆるい繋がり。

といった「目に見えにくい支持者・共感者」の存在は、完全には否定しきれません。

😴謎④保険金自殺、自衛隊退職という“短絡”とのギャップ

  • 山上は自衛隊在籍中に、自分の保険金を兄妹に残そうとして自殺未遂を図ったと報じられています。
  • その一方で、安倍銃撃事件においては、綿密な準備と技術的な工夫を重ねています。

このギャップは非常に不思議です。

  • 一方では、保険金自殺という、極めて短絡的で典型的な“逃避”の発想。
  • 他方では、銃器の設計や犯行計画における、冷静で長期的な“攻撃”の発想。

普通は、どちらか一方に大きく傾きます。

「死んで終わらせる」のか、「撃って何かを変えようとする」のか?山上は人生の中で、この二つを行ったり来たりしています。

😂まとめ:鉄壁のシナリオ

本稿でたどってきたのは、家庭崩壊・宗教・孤独・知性・短絡性という複数の要素が複雑に絡み合い、一人の人間を極端な行動へと導いた可能性です。しかし、事実を並べれば並べるほど、
山上徹也という人物と、その生い立ちには「説明しきれない空白」が残ります。

  • 父の自殺。
  • 母の信仰と献金。
  • 兄の自殺。
  • 山上本人の自殺未遂と自衛隊退職。
  • そして、安倍晋三という“象徴”への銃撃。

公判が進めば、新しい事実が明らかになる部分もあるでしょう。 しかし同時に、検察は約3年をかけて、「貧困と宗教によって追い詰められた一人の男が、狂気の末に政治家を襲った」という、筋の通ったシナリオを組み立ててきたはずです。その鉄壁のシナリオに、おそらく穴はないでしょう。

ただ、そのシナリオが綺麗であればあるほど、その裏側に隠れている“別の何か”が、存在しているようにも感じられます。謎は、むしろ深まるばかりです。

タイトルとURLをコピーしました