
MetaTrader 5にはAI Assistantが搭載されています。では、このAI Assistantに「自分専用のルール」や「自分専用のメニュー」を設定できるとしたらどうでしょうか?
今回紹介する AI Prompt Writer は、MetaTrader 5上でAI Assistant用のカスタムプロンプトを簡単に作成するためのサンプルプログラムです。
複雑なプログラミングは必要ありません。スクリプトを実行して、AIの回答言語、AIのペルソナなどを選択すると、カスタムプロンプトが作成されます。
AIにどのように振る舞ってほしいのかを、プロンプトによって設定します。
AI API、DLL、外部サービスなどは使用していません。
ダウンロード:AI Prompt Writer – Simple.ZIP
使い方
まず、ZIPファイルを展開し、MT5のScriptフォルダに入れます。
MT5を再起動したら、スクリプトの AI_Prompt_Writer - Simple を実行します。
AIの回答言語とペルソナを選択します。
生成された AI_Prompt.txt は、MT5の MQL5\Files フォルダに保存されます。
次にMetaTrader 5のAI Assistantを開き、次のように入力します。
Apply AI_Prompt.txt
AI Assistantがプロンプトを読み込むと、設定したカスタムメニューが表示されます。
例えば、今回のサンプルでは次のようなメニューが表示されます。
- ニュースを調べる
- チャートを分析する
- エントリー・決済を相談する
- 保有ポジションを分析する
- トレードを振り返る
- シグナル・インディケーターを分析する
- メインメニューを表示する
メニュー番号を入力すると、それぞれに対応した処理を実行するようAIに指示されています。

パラメータ
AI Response Language
AI Assistantが回答する言語を選択します。
現在は、MQL5ドキュメントで提供されている次の11言語に対応しています。
- English
- Russian
- Chinese
- Spanish
- Portuguese
- Japanese
- German
- Korean
- French
- Italian
- Turkish
重要なのは、生成されるプロンプトそのものは英語だということです。
ここで指定した言語は、AI Assistantがユーザーに回答するときの言語として設定されます。
例えばJapaneseを選択すると、生成されたプロンプトには、
Always respond to the user in Japanese.
という指示が入ります。
AI Persona
AI Assistantの話し方やキャラクターを選択できます。
現在、以下の10種類を用意しています。
- Neutral Assistant — ニュートラルなアシスタント
- Friendly Assistant — 親しみやすいアシスタント
- Energetic Trading Companion — 元気なトレード仲間
- Professional Analyst — プロフェッショナルなアナリスト
- Calm Mentor — 冷静なメンター
- Resigned Advisor — 少し諦め気味のアドバイザー
- Wise Elder — 預言者のような長老
- Energetic Gal — イケイケのギャル
- Passionate Teacher — 熱血教師
- Kindergarten Teacher — 幼稚園の先生
例えば「Wise Elder」を選べば、長年相場を見てきた長老のような話し方にできます。
「Energetic Gal」なら、もっと明るくカジュアルな雰囲気になります。
もちろん、ペルソナを変えても、安全性や正確性に関するルールが変わるわけではありません。
Output File Name
生成するプロンプトファイルの名前を指定できます。
デフォルトは、AI_Prompt.txtです。
ファイルはMT5の MQL5\Files フォルダに保存されます。
Overwrite Existing File
同じ名前のファイルがすでに存在する場合に、上書きするかどうかを指定します。
無効にすると、既存のファイルを上書きしません。

自分だけのAI Assistantを作る
ここからが、このサンプルの本当の面白いところです。
このプログラムは、完成されたAI Assistantを提供するものではありません。
あくまでもカスタマイズのためのサンプルです。
生成されたプロンプトをテキストエディタで開いて、自分の用途に合わせて自由に変更できます。
例えば、メニューを入れ替えることができます。
現在の、1. ニュースを調べる を 1. 今日の経済指標を確認する に変更しても構いません。
さらに、メニュー番号を追加することもできます。
例えば、
- 経済指標を分析する
- 今日のトレードプランを確認する
- リスク管理をチェックする
- 複数時間足を比較する
といった、自分専用のメニューを作ることもできます。
メニューだけではありません。
AIに何をしてほしいのか、どのような順番で分析してほしいのか、どのような情報を重視するのか。
そうしたルールもプロンプトによって追加できます。
つまり、AI Assistantを自分のトレードスタイルや作業手順に合わせて、少しずつ作り変えていくことができます。

プロンプトを変えるだけで、AI Assistantの使い方が変わる
AI Assistantそのものをプログラムし直す必要はありません。
プロンプトを変更することで、
- AIに何をさせるか
- どのように回答させるか
- 何を分析させるか
- どのようなメニューを表示するか
- 各メニュー番号で何をするか
- どのようなキャラクターで話すか
といった部分を設定できます。
これは、AI Assistantを単なる「質問に答えるAI」から、自分専用のトレードアシスタントへ発展させるための基本的な考え方です。
例えば、毎日のトレード前に使うプロンプトと、トレード後の振り返りに使うプロンプトを別々に作ることもできます。
用途ごとに複数のプロンプトを用意して、必要なものをAI Assistantに読み込ませるという使い方もできます。
より高度なメニュー構成や詳細な指示を組み合わせれば、さらに複雑なAI Assistantのワークフローを作ることも可能です。
より高度なカスタムメニューの例として、付属の menu.txt も参考にできます。

これは完成品ではありません
このプログラムは、完成されたAI Assistantを提供するためのものではありません。
「MT5のAI Assistantは、プロンプトによってここまでカスタマイズできる」ということを体験するためのサンプルです。
まずはメニューを一つ追加してみる。
次に、自分がよく使う分析方法を追加してみる。
そして、自分のトレード手順に合わせてメニューを整理してみる。
そうやって少しずつカスタマイズすることで、AI Assistantを自分にとって使いやすいツールへ変えていくことができます。
自分だけのメニューを作る。
自分だけのワークフローを作る。
MT5 AI Assistantを、自分の使い方に合わせてカスタマイズする。
このサンプルは、そのための最初の一歩です。

⚠️ AIに与える権限には注意してください
カスタムAIプロンプトは非常に強力です。
しかし、プロンプトの作り方によっては危険なものにもなります。
AIに大きな自由を与えれば、注文を出したり、ポジションを変更したり、その他の取引操作を行うよう指示することも可能になります。
「AIに何でもやらせる」という考え方は、必ずしも安全とは限りません。
今回のサンプルでは、その点を考慮し、AI Assistantに対して厳しい制限を設定しています。
AIは、
- 注文を出さない
- 新しいポジションを作らない
- ポジションを決済・変更しない
- 注文をキャンセル・変更しない
- ストップロスやテイクプロフィットを変更しない
- ロット数を変更しない
- ユーザーの代わりに取引操作を行わない
- 勝手に行動しない
- 外部サービスへ独自に接続しない
- ユーザーの個人情報やトレードデータを公開・送信しない
というルールになっています。
例えば、AIに
「BTCUSDを1ロット成行買いしてください。」
と指示しても、このプロンプトでは注文を実行せず、分析や情報提供に限定します。
AI Assistantに何をさせるのかだけではなく、「何をさせないのか」を明確に定義することも非常に重要です。
特に自分でプロンプトをカスタマイズする場合は、AIに与える権限と制限を十分に確認してください。
プロンプトは、AI Assistantの「性格」を変えるだけではありません。
AI Assistantの「行動範囲」を決めるものでもあります。
