全国的にクマの出没が急増し、東北・北陸では人的被害、死亡例まで発生しています。一方で東京都政を見ると、小池百合子都知事は最近、「東京の税収が地方に回される問題」に対しては強い言葉で連日発信を続けています。お金の話には即座に反応し、会見でも声を荒らげる。その一方で、多摩地域で現実に迫るクマ問題については、慎重な言い回しと先延ばしの姿勢が目立ちます。
東京は都市部だけの街ではなく、山間部と都会が共存する巨大自治体。また、東京都は全国でも突出した税収と財政余力を持つ自治体です。目立つ給付や補助金だけでなく、安全対策などを「やりたくてもできない」地方自治体より、はるかに積極的な対応が可能な立場にあります。そうした“優遇された環境”にある東京だからこそ、都政の成果や優先順位は、より厳しく問われるべきではないでしょうか。
🤔会見を比べると一目瞭然?熊は慎重、税収問題は強気な小池都政
ここでは、小池都知事が行ってきた複数の記者会見を並べて見たときに浮かび上がる、「テーマごとの温度差」に注目したいと思います。小池都知事は、クマ対策に関する会見では「捕獲」「巡回」「必要な措置」といった曖昧な表現に終始し、“駆除”や“個体数管理”といった踏み込んだ言葉は避けています。
ところが一方で、2025年12月に話題となっている東京都と国との「税収格差是正」を巡る問題については、非常に強いトーンで発言しています。政府・与党が検討する、東京都に集中する法人税などを地方に再分配する仕組みに対し、小池知事は「東京を狙い撃ちにした税収の収奪」「偏在は存在しない」「地方はそれぞれの財源で独自施策を行うべきだ」と強く反発。
クマ問題では慎重なのに、お金の問題になると即座に強く反応する。この温度差に違和感を覚える都民も少なくありません。
😫東京でも他人事ではない:クマは立川手前まで迫っている
全国のツキノワグマ出没は過去最多ペースで推移し、東北では農地侵入だけでなく住宅地周辺での被害が問題化。近年は“人慣れ個体”が増え、餌不足と温暖化の影響も重なり、行動範囲は拡大しています。北海道ではクマが都市近郊に侵入するケースも増え、「野生動物が都市圏に入る時代」が現実となりました。
東京も例外ではなく、多摩地域の動向は全国の流れと同じ方向に進んでいます。青梅市、あきる野市、八王子市、日の出町、檜原村などで目撃が相次ぎ、地図上では“東への前進”がはっきりと確認されています。
今年は特に件数が多く、立川市の西側に迫る地点でも目撃情報が出ています。これは従来の山間部に限定された問題とは言えず、明らかに都心に近づく兆候です。それでも都の対応は情報提供が中心のまま。現場の不安は高まる一方ではないでしょうか?
😤都下は後回し?“東京なのに東京扱いされない”多摩の違和感
東京都の年間予算は国家規模の自治体並み。その一方で、“都心の再開発”や“観光イベント”には潤沢な資金が投入されるのに、熊対策は驚くほど控えめ。多摩地域の住民からすれば「都下は東京じゃないのか」という疑問すらうかがえます。皮肉にも、光が当たるのは都会だけです。山間部の安全は“後回し”に見えてしまうのは気のせいでしょうか?
東京都の施策は、TOKYOくまっぷによる目撃情報の公開、注意喚起、多摩地域でのハンター巡回(銃器携行)など“軽度〜中度”の対策が中心です。これは悪いわけではありませんが、全国で人的被害が多発する状況を考えると、踏み込みが不足していると言わざるを得ません。
本来必要な“個体数調整”や“危険個体の早期捕獲”といった決断は行われていません。みなさんは十分だと思いますか?
😵最大の盲点は多摩川:都市部へ続く“自然の回廊”
都市部へ向かう際、主要道路である国道16号や圏央道は、クマにとって大きな障壁となります。しかし、その一方で、多摩川という“自然の大動脈”が存在します。河川敷は夜間に人通りが少なく、身を隠せる場所も多いうえ、餌となる環境もそろっています。
地形的にも連続性があり、府中市や調布市方面まで直線的に移動することは十分に可能です。クマの行動範囲を考えれば、こうした距離は1日で踏破できる水準です。これは「いつ起きるか分からない想定外の事故」ではなく、「条件がそろえば現実に起こり得る現象」と見るべきでしょう。
数年前まで、住宅地にクマが頻繁に現れ、人が襲われる事態など想像できたでしょうか。いまでは、少し山間部に入ればクマとの遭遇を意識するのが当たり前になりつつあります。高尾山のような観光地でさえ、「クマと遭遇しない」と断言できるでしょうか。東京がいま備えるべきリスクは、すでに目の前にあります。みなさんは、この現実をどう感じますか?
😠まとめ:恵まれた首都・東京だからこそ、他県以上の決断を
クマ問題は、多摩地域だけの課題ではなく、日本全国で死傷者が出ている現実の延長線上にあります。東京では幸いにも今のところ人的被害は出ていませんが、それは偶然の積み重ねにすぎません。他県が限られた財源の中で必死に対応を迫られている一方、潤沢な税収と人材を持つ東京が、他県と同レベルの慎重姿勢にとどまっていてよいのでしょうか。
恵まれた環境にある自治体ほど、より高い成果と先回りした安全対策が求められます。苦情や批判を恐れて判断を先延ばしにする余裕は、東京には本来ないはずです。小池都知事には、財政的に恵まれた首都・東京だからこそ可能な、踏み込んだ熊対策を早急に示すことが求められているのではないでしょうか。
皆さんは、この優先順位をどう考えますか?




