
2026年7月、MetaTrader 5(MT5)に待望のAIアシスタントが搭載されました。
「MT5にAIが付いたらしい」程度の話ではなく、トレード環境そのものが変わる、大きな転換点になることは間違いないでしょう。
ChatGPTのようなAIチャット画面がMT5に搭載されたなどという単純な話ではありません。

このAIは、ポジション状況を把握し、口座情報、チャート情報からアドバイスをするだけでなく、AIが注文を出したり、ストップラインを入れたりとMT5を制御することもできます。
表示されているインディケーターやシグナルツールも把握しており、もう効果の曖昧なツールは丸裸にされることでしょう。それもプログラミングを知らない人でも簡単に問題点を見つけられるようになるということです。
これは単なるチャットボットではありません。MetaTraderそのものがAIと会話できる時代になったと言っても過言ではないでしょう。それも無料で。
今回は、その第一印象と、実際に触って驚いた機能について紹介します。

AIアシスタントは、チャートを見ている
従来の生成AIは、こちらが文章で説明しなければ何も分かりません。
例えば、
「ドル円の日足が上昇トレンドで……」
「RSIが70を超えていて……」
など、人間が状況を説明して初めてAIが答えられます。
ところが、MT5のAIアシスタントは違いました。
現在開いているチャートや口座情報へアクセスし、
- 現在の保有ポジション
- シンボル
- エントリー価格
- 含み損益
- 証拠金維持率
- チャート情報
などを取得し、それを前提に会話できます。
つまり、
「今のBTCUSDどう思う?」
という質問に対して、現在のポジションを見ながら回答できるのです。
これは従来の生成AIとは大きく異なる点でした。

インディケーター、シグナルツールまで認識する
さらに驚いたのはここです。
AIアシスタントは、チャート上に表示されているインディケーターまで認識していました。
こちらの環境では、自作インディケーター「ArwByIdx_rcm」を表示していましたが、
AIは
- インディケーター名
- パラメータ
- 現在の設定
まで把握していました。
そして、「過去3か月のデータでバックテストをしましょうか?」などと提案してきました。
この一言を聞いて、凍り付く開発者がいるかもしれません。
AIがシグナルツールのロジックや挙動を客観的に分析し、性能まで評価できてしまう。プログラムを書けない人でも、AIに質問するだけでシグナルの問題点が見えてしまう時代です。
ここまで来ると、ツール選択のアドバイザーを手に入れたと言っても良いかもしれません。

チャート設定まで変更できる
さらにAIは、チャート設定の変更やテンプレート操作なども実行できます。
つまり、
「注文ラインを表示して」
「○○を追加して」
といった依頼も可能です。
もちろん、「ストップはどのあたりが良い?」などと質問すれば、「○○円付近でダブルボトムとなっていますので、その下の○○円あたりが良いでしょう。」などと返答があります。
「じゃあ、そこにストップ注文を入れておいて」そう指示すると、AIアシスタントがMT5へ命令を送り、実際に注文内容を変更できます。
ここまでくると、単なる質問応答ではなく、MetaTraderを操作するAIと言った方が近いでしょう。
マルチディスプレイの1枚を生成AIにしているなどという人も多くなってきましたが、それをMT5が注文処理も含めて、一つに統合したと言えそうです。

正直、ここまでできるとは思わなかった
まだまだ、少し使い始めた程度ではありますが、様々な機能を試しました。
最初は「AIチャットが付いたらしい」という程度の認識でしたが、実際には予想以上にMetaTrader内部へ深く入り込んでいます。
- チャートを見る。
- ポジションを見る。
- インディケーターを認識する。
- ソースコードを解析する。
- MQLを書く。
- 設定を変更する。
ここまで出来るのであれば、今後のMT5の使い方そのものが変わることは間違いないでしょう。
ただし、実際に使い込んでみると、万能というわけではありませんでした。
期待していたほど得意ではないこともあれば、逆に「そこまでできるの?」と驚く機能もあります。むしろAIがそんなミスするの?などというおっちょこちょいな場面もありました。
次回は、実際に使い込んで見えてきた「本当に便利だった機能」と「まだ苦手だったこと」を、期待だけではないリアルなユーザー目線で紹介します。




