昨今の為替相場で、安全資産と言われていた円が、安くなる「円安」が続いています。1ドル110円ほどだったことが遠い昔のことにように感じられますが、2021年ころまでは当たり前でした。有事の際には、安全資産として円が買われる傾向にありましたが、現在の1ドル150円であることを考えると現実との乖離は大きくなっているように思えます。この記事では、円安がなぜ続いているのか、そして今後どこまで進む可能性があるのかを考えていきます。
そもそも円安って何?
「円安」とは、円の価値が他の通貨に対して下がることを指します。例えば、1ドル=100円だったのが1ドル=150円になると、円の価値は下がったことになります。
円安が進むと、
- 輸出企業には有利:円建ての利益が増える
- 輸入コストは増加:海外からのエネルギーや食品の価格が上昇する
このように、円安は日本経済に良い面と悪い面の両方をもたらします。
円安が続いている理由
- 日米金利差の拡大
- アメリカの中央銀行(FRB)はインフレ抑制のため、金利を引き上げていましたが、2024年現在では利下げを開始しました。一方で、日本銀行(日銀)も少しですが金利を引き上げています。しかし、その金利差は依然として大きく、投資資金はドルに流れやすい状況が続いています。
- 日本の貿易赤字
- 日本はエネルギーや食料を海外に依存しているため、輸入が増えると円を売って外貨を買う動きが強まります。これが円安を加速させる一因です。
- 投資家の円売り
- 投資家は高金利通貨(例:米ドルやメキシコペソ)を買う傾向が強く、円が売られやすくなっています。
- 政策の違い
- 金利差の縮小が進んでいるとはいえ、FRBと日銀の政策スタンスには依然として大きな差があります。
円安はどこまで続くのか?
円安がどこまで続くのかは予測が難しいですが、いくつかのポイントがカギを握っています。
日米金利差の行方
アメリカが利下げを進めているとはいえ、日本の金利引き上げはごくわずかであるため、金利差は依然として大きく、円安基調はすぐには解消されない可能性が高いです。
トランプ大統領の再登板
先の大統領選でトランプ前大統領が再選し、2025年には再び政権に戻ることが決まりました。トランプ氏は過去の発言から円安に否定的であり、何らかの対策を講じる可能性が考えられます。これが円高方向への圧力となるかもしれません。
日本円は本当に安全資産か?
これまで日本円は「有事の際の安全資産」とされてきましたが、現在の国際情勢を考えると疑問符がつきます。台湾有事の懸念、北朝鮮問題など地政学的リスクが増大しており、日本円が安全資産として買われる動きが弱まる可能性もあります。
注意すべきリスク
円安は輸出企業にはメリットがありますが、以下のリスクも考慮する必要があります。
- 輸入コストの上昇:エネルギーや食料品の価格が上がり、家計や中小企業に負担が増える
- インフレの加速:円安による輸入物価の上昇が、国内の物価高を引き起こす可能性がある
- 地政学的リスク:日本周辺の安全保障リスクが増大しているため、円が買われない状況が考えられます。
円安は、どこまで続くのか?
円安は日米金利差や日本の金融政策、そしてトランプ政権の政策や地政学的リスクによって今後も変動する可能性があります。ただし、一般的な経済学で考えれば、この金利差がある限り、1ドル=110円のような時代に戻ることは難しいと考えられます。
日経平均が4万円を突破し、バブル後の最高値を更新したと沸いていても、ドル換算で見れば、1ドル=110円時代に日経平均が3万円だったころと大きく変わっていません。1ドル=110円から150円に推移したことで、ドルベースでは約3割値下がりしたことと同じであり、海外投資家にとって割安に見えていることが日経上昇の一因です。つまり、円高に振れれば、日経が下がることは容易に想像できます。
日本の底力と明るい未来のために
しかしながら、このような状況でも日本は依然としてGDP世界4位です。これはドル換算でのランキングのため、円安の影響で順位が下がっていることも要因の一つです。外から見れば「安い国」へと進んでいる一方で、これほど能力の低い政治家、官僚、オールドメディアに支配されていても、この位置を維持しているのは日本という国の底力であることに間違いありません。
1980年代には「経済は一流、政治は二流(三流)」と言われていましたが、経済を盛り上げるためには、今の政治があまりにも機能していないことは明らかです。経済を立て直し、日本中の国民が安心してお金を使いたくなるような状況を作るためにも、経済に明るい首相の誕生を期待したいものです。
一方で、「日本円は安全資産」と言われてきましたが、台湾有事や北朝鮮問題など地政学的リスクを考えると、その安全性についても再検討し、ポートフォリオを見直す必要があるかもしれません。
為替相場の動きは複雑ですが、リスク管理を意識しながら経済ニュースをしっかりチェックすることが大切です。
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